高齢出産のおもなトラブル

【妊娠時・出産時のトラブル】
・流産や早産になりやすい
・妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を起こしやすい
・子宮筋腫や卵巣嚢腫などの婦人病を合併しやすい
・肥満になりやすい
・前置胎盤や逆子、常位胎盤早期剥離が心配される
・軟産道強靭や微弱陣痛などを起こし、難産や帝王切開になりやすい
・分娩時の異常出血量が心配される
・産後の回復が遅い

【赤ちゃんのトラブル】
・未熟児・低出生体重児・仮死児になりやすい
・染色体異常児が生まれやすい
・子宮内胎児発達遅延になりやすく、胎児死亡・周産期死亡などが心配される

妊娠期別トラブル

妊娠初期 ・胞状奇胎・子宮外妊娠・流産・切迫流産・妊娠糖尿病
妊娠中期 ・流産・切迫流産・妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病・早産・切迫早産・前置胎盤
妊娠後期 ・早産・切迫早産・妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病・前置胎盤・常位胎盤早期剥離・逆子・前期破水
【胞状奇胎】
胎盤をつくる絨毛という組織が異常に増殖してしまう病院です。 受精のときに起こる染色体異常の一種で、1000人に1〜2人の割合で起こります。 妊娠初期になかなか胎嚢や赤ちゃんが確認できないとき、注意深く超音波画像を観察していると、ぶどうの房のようになった独特の画像が見えます。診断がついたら、なるべく早く子宮内容除去術を受けます。絨毛がんになる恐れもあるので定期的に検査を行い、術後1年は避妊をします。

【子宮外妊娠】
子宮外妊娠とは、受精卵が子宮内腔ではなく卵管、卵巣、腹膜などに着床することで、そのほとんどが卵管での着床です。 妊娠反応があるのに、なかなか子宮内に胎嚢や心拍が見えてこないときに疑います。そのままにしていると、妊娠7〜8週ころに激痛や大出血を伴う卵管破裂を起こすこともあります。最近は、超音波検査の技術進歩により症状が出る前に発見できるようになり、薬物による治療や腹腔鏡下手術により卵管を温存できるようになってきました。

【流産】
流産とは妊娠22週未満に子宮内で赤ちゃんが亡くなったり、育たなくなってしまうことをいいます。22週以降になると、生まれた場合に育っていける可能性があるので、早産と呼んで区別しています。高年での妊娠は「流産しやすい」と言われることも多いでしょう。実際のところ、流産率は30〜34歳までは15%、35〜39歳は17〜18%、40歳以上は25〜30%と年齢が高くなるにつれて若干高くなっています。これは赤ちゃんの染色体異常の確率が年齢とともに高くなるからです。受精の歳、精子と卵子の染色体が結合しますが、そのときに染色体に傷がついたり、染色体の不分離が起きることがあります。多くは、その後受精卵が分割していくときに、修復しながら大きくなっていきますが、そこで修復しきれず、それ以上成長できなくなったものが流産となります。また、ママが胎児だったころから持っている卵子は年齢を重ね、排卵の順番を待つうちに少しずつ老化してくるため、そのことも流産率を高くすると考えられます。とはいえ、全年齢における流産率は10〜15%ですから、年齢にかかわりなく流産する人は少なくないといえるでしょう。

【切迫流産】
切迫流産とは、出血やおなかの張り、痛みなど流産の兆候がある状態をいいます。以前は子宮内の様子がよくわからず流産になるか、そのまま妊娠が継続していくかの区別がつきませんでした。しかし今は超音波検査のおかげで早い時期から赤ちゃんの心拍を確認できて子宮頚管が開いていなければ多少の出血や張り、痛みがあっても約8割は妊娠が継続していくことがわかってきました。切迫流産は受精卵が着床する位置や過程で起きた出血や張り、また絨毛膜下血腫であることも考えられ流産の兆候ではない場合もあります。心拍が確認できないときは残念ながら流産となり、その原因のほとんどは赤ちゃんに染色体異常があったと考えられます。妊娠初期の切迫流産症状は、無事に出産した人の約2割のママが経験しており、その年齢も様々です。ですから妊娠年齢とは直接的には関係がないといわれます。

【妊娠糖尿病】
妊娠したことで発症した、あるいは初めて高血糖状態が認められた糖代謝異常の病気です。妊娠中は赤ちゃんへ、より多くのブドウ糖を送るために、胎盤から出るホルモンがインスリンの働きを抑制してしまい血糖値が上がりやすくなります。そこに甘いものの摂り過ぎや運動不足といったマイナス因子が加わることも原因になっています。妊娠糖尿病は妊娠高血圧症候群や羊水過多症を併発しやすく早産や巨大児出産などの深刻なトラブルが予想されます。また、出産後も後遺症に悩まされたり本物の糖尿病になったりします。

【妊娠高血圧症候群】
妊娠中で最も警戒されるトラブルのひとつ。代表的な症状が高血圧ですが、血圧は正常値を超えても自覚症状がありません。そのため、定期健診での血圧測定が早期発見の決め手になります。高血圧は妊娠中期以降に多く見られます。また妊娠前から血圧が高めの人や高齢出産の人、肥満気味の人は食生活の見直しと十分な休養、適度な運動が必要です。妊娠高血圧症候群になると胎盤の機能が低下して赤ちゃんに十分な酸素や栄養が送れず、発育遅延や早産を招き重症になると母児の命にかかわります。


【早産】
早産は妊娠22〜37週未満に出産すること。赤ちゃんは正期産のころに生まれた場合、体外で生活するのに十分な体の機能を備えています。それ以前に生まれた早産の場合は、体の各器官が未熟な状態で生まれてくることが心配です。早産の原因は様々ですが一番多いと考えられているのが、絨毛膜羊膜炎や子宮頸管炎です。細菌の感染により卵膜がもろくなるために起こり、破水しやすくなります。これらを防ぐために膣分泌物の検査で早期発見したり、早産に至る前に兆候をいち早く察知する検査法などができてきました。原因菌がわかったら、適切な治療をしセックスでの感染を起こさないよう注意が必要です。早産の症状は、おなかの張り、痛み、違和感、破水、出血などです。しかし、注意したいのは早産の約50%以上は、これらの症状が見られないことです。切迫早産の治療中、あるいは治療を行う間もなく早産が進行し始めると、それを抑えることは難しくなります。ですから安定期といわれる妊娠20〜32週の期間こそ、妊婦健診をきちんと受けることが大切です。

【切迫早産】
早産の危険が差し迫った状態を切迫早産といいます。切迫早産の症状には、粘り気のあるおりものが突然増える、血液の混じったおりものが出る、出血、おなかの痛み、張りが起こる、腰がだるい、歩きにくいなどがあります。このような症状が現れるのは子宮口が開き始めていたり、子宮頚管が短くなっていたり(お産が近づくにつれて短くなっていきます)破水や陣痛が起こるなど、お産の兆候が見られるためです。また、ママにはほとんど自覚症状がないまま、おなかの中で切迫早産の状態が起こっていることもあります。流産の原因が赤ちゃん側にあることが多いのに対して、早産はママに原因があることが多いようです。早産の原因は様々ですが、合併症があるかどうかで起こるリスクが違ってきます。切迫早産は早期に発見することが重要です。安静にして適切な治療を行い少しでも長く赤ちゃんがママのおなかにいられるようにします。そうすれば切迫早産の多くが正産期までもたせることができます。

【前置胎盤】
通常は子宮の高い位置に付着する胎盤が、子宮の低い位置に付着して子宮口を塞いでいる状態をいいます。前置胎盤の場合、おなかの収縮があると胎盤と子宮壁にずれができて、そこから大出血を起こすことがあります。おなかの張りや出血を起こさないように無理をせず過ごすことが大切です。分娩は経膣分娩が可能なこともありますが、多くは母子の安全のために帝王切開になります。

【常位胎盤早期剥離】
胎盤は赤ちゃんが生まれてから剥がれるものですが、赤ちゃんが生まれる前に子宮壁から剥がれてしまうことをいいます。胎盤が剥がれてしまうと、子宮壁との間に多量の出血を起こし赤ちゃんへの酸素や栄養がストップします。母体はショック症状を起こし、母子ともに危険な状態になるため直ちに帝王切開になります。妊娠高血圧症候群があるとリスクが高くなるといわれますが原因は不明です。常位胎盤早期剥離が起こるのは、全妊婦の0.5%と稀なことですが予測できない病気なので気をつけておきたいトラブルのひとつです。症状は少量の出血とおなかの張りから始まります。これが重症になってくると突然、激しい痛みに襲われておなかが板のようにカチカチになります。

【逆子】
赤ちゃんは、おなかの中で頭を下にお尻を上にしています。反対に頭を上にお尻を下にしている状態を「逆子」と呼んでいます。お産が始まるころには逆子は全体の3〜5%になります。逆子で出産する場合は帝王切開を行う産院が増えています。また、逆子の場合、子宮口の近くに羊水の圧力がかかりやすいため、破水しやすい傾向があります。万が一、破水した場合は体と子宮口の間から臍帯が脱出してしまう恐れもあるので、破水したらすぐに受診しましょう。

【前期破水】
陣痛が起きて子宮口が全開大近くまで開いたころに破水するのが通常のお産の進行ですが、陣痛が来る前に破水をする場合があり、これを前期破水と呼び早期破水と区別しています。破水が起きると、大体24時間以内に陣痛が始まってお産となります。37週未満に起こると、早産になることがあります。実際、早産の3〜4割は破水が関係しているといわれています。多くの場合、卵膜に細菌やクラミジアなどの感染が起こり卵膜が弱くなって破れます。そこから更に菌が侵入すれば、赤ちゃんにまで及びます。そのままにしておくと自然に陣痛も始まります。破水とわかったら抗生剤を投与して感染を予防します。早産の時期は、陣痛が起こるのを防ぐために子宮収縮抑制剤を使い安静にします。

葉酸欠乏と関連性が報告されている異常・疾患

  • 神経管閉鎖障害、口唇口蓋裂、四肢形成障害、ダウン症、
    流産、死産、妊娠高血圧症候群、胎盤早期剥離、胎児発育遅延
  • ただし、上記のすべてが葉酸の欠乏だけが理由ではありません。
    厚生労働省では「リスクの低減」とあり、「神経管閉鎖障害の発症は遺伝的要因などを含めた多因子による複合的なものであり、その発症は葉酸の摂取のみにより予防できるものではなく、一定量の葉酸の摂取により集団としての発症のリスクの低減が期待できるという性格のものであることを説明する必要がある。」と明記されています。また「特に既に神経管閉鎖障害の児の出産既往歴のある母親については、過度の不安を招かないよう、その発症に葉酸の摂取が寄与した可能性は必ずしも高くないことなどについて説明することが必要である。」と書かれています。また、「妊娠可能な年齢の女性に対しては、葉酸をはじめその他のビタミンなどを多く含む栄養のバランスのとれた食事が必要である。」「妊娠中の健康と胎児の健全な発育のため、日頃から多様な食品で栄養なバランスを保つなど食生活を適正にし、妊娠中の禁煙、禁酒などの事項を指導していく中で、葉酸の意義についての情報提供を行う必要がある。」と提言として明記しています。

    すなわち、ただサプリだけ飲みなさいといっているのではないのです。基本はやはり毎日の整った食生活にあります。ほとんどの妊婦さんは妊娠がわかって、妊婦さん向けの雑誌を買って初めて“葉酸”と出会います。しかしその時点ではもう遅いのです。妊娠6週で中枢神経のおおもとはできあがっているのですから。

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